2025/07/11 17:20
わたしが20代の頃の話です。
お菓子が入っているような箱がテーブルの下に置いてありました。
「ずっとあるけど、何が入っているんだろう?」と思い、ある日開けてみました。
入っていたのはモノクロの古い写真と金と思われる指輪。
写真は20枚くらいはあったと思います。
学生服を着た男性がたくさんの女学生に囲まれている写真とか。
男の人が浜辺で船と写っている写真とか。
同じ人みたいだけど、この人は誰なんだろう・・・?
母に聞いてみたら「あれ、言ってなかったっけ?」と言われ、説明を聞いたところによると。
この箱はある日、まったく知らない人から父宛に送られてきたそうです。
送り主もですが、写真の人にも父は心当たりがない。
送り主の住所と名前があったので、電話帳で調べて電話をしたそうです。
送った方の話によると。
写真の人は昔隣に住んでいた人だそうで、その人はこの箱を隣人に預け、ある日夜逃げのようにいなくなったとか。
このいなくなった人が父と同姓同名だったんです。
ずっと預かっていたけど、気になっていたんでしょうね、電話帳で調べたら同じ名前があった。
見つけた!と思い、送って来たとのことでした。
結局、この箱は送り返して終わりました。
同姓同名とはいえ、いろんな人生があるものです。
「電話帳」という、今はない、個人情報がバリバリ載ったものがつないだ不思議な縁でした。
